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| 糖尿病の治療における紅蔘の作用 |
紅蔘は様々な医療機関、大学、研究機関で研究されており、糖尿病の治療における紅蔘の作用について、済生会高岡病院 副院長 加藤弘巳氏、富山医科薬科大学 名誉教授 矢野三郎氏のまとめによる報告を掲載します。
(共立出版株式会社 薬用人蔘2000 20年の科学的研究 その業績のすべてより抜粋)
★糖尿病治療に有用な薬用人参の作用★
[A]代謝系への作用
ストレプトゾトシン糖尿病ラットで血糖上昇改善作用を認めるほか、血清総タンパク・アルブミンの低下も改善し蛋白同化作用も示す。高コレステロール食飼育ラットのコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸を低下させHDLコレステロールを上昇させる抗高脂血症作用がある。これらの作用は血糖降下の主役足り得ないものの、異化に傾いた代謝を改善し、高脂血症の改善をとおして大血管障害の予防につながる作用が期待できる。
[B]末梢循環改善作用
血小板凝集抑制作用、赤血球変形能の促進、末梢循環拡張作用、老年者における血行動態改善作用が認められ、糖尿病における細小血管障害に対する作用が期待できる。
[C]抗動脈硬化作用
血管平滑筋細胞の内膜への遊走・増殖抑制作用、特に増殖因子の中でPDGFによる平滑筋細胞の増殖や、中膜から内膜への遊走を抑制する。また変性LDLのマクロファージへの取り込み抑制など血管壁アテローム形成抑制作用が認められ、抗高脂血症作用とともに抗アテローム効果が期待できる。このことは糖尿病における大血管病変の進展抑制に有用な作用と思われる。
[D]中枢神経に対する作用
視床下部外側野ブドウ糖感受性ニューロンを抑制し、腹内側核の同ニューロン活動を促進する事により摂食抑制効果を発揮する。一方手術後など身体的ストレスによる寡食状態に対し、中枢性の拮抗作用を示す。このことは糖尿病における食事療法に利するとともに、疲弊時の食欲不振を防ぐことにもなる。
[E]向精神神経作用
雄マウスの攻撃行動および雌マウスの母性攻撃行動を容量依存的に抑制し、隔離飼育マウスにおける社会行動の障害を改善する作用がある。こうした作用は抗うつ薬の作用プロフィールと類似する。糖尿病においては病状の進展に伴い鬱状態招くことがあり、有用な作用として期待できる。
[F]腎に対する作用
腎亜全摘ラットにおいて腎組織病変の軽減、尿蛋白量の軽減、メサンギウム細胞増殖抑制作用を示した。糖尿病性腎症にも効果が期待できる作用である。
★糖尿病患者における薬用人参の臨床効果★
外来通院中の糖尿病患者52例を対象とし薬用人参の臨床効果をプラセボを用いた二重盲検法にて比較検討した。この成績はすでに報告しているが結論を要約して以下に述べる。
[1]自覚症状:疲労感と食欲の2項目で有意な改善。総合評価でも有意に優れていた。全般症状、腰痛の2項目でも改善傾向が認められた。
[2]糖代謝:空腹時血糖、HbA1では有意差なし。フルクトサミン値(約2週間前の平均血糖値を反映)は4週間後に有意な改善。8週間後も低下傾向。
[3]脂質代謝:比較的高値症例(コレステロール180mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl以上)に限ると有意な改善を認めた。
[4]自律神経障害に対する作用:糖尿病性自律神経障害の指標の一つである心電図R-R間隔の変動係数は投与前後で薬用人参群では有意な改善を認めた。
[5]糖尿病性腎症に対する作用:糖尿病性早期腎症の指標である尿中微量アルブミンを尿蛋白陰性症例27例について測定。尿アルブミン値の減少は認めないが、プラセボ群に比し有意に排泄率が低下。
[6]その他:経過中男性症例1例に陰萎(ED)の改善を認めた。糖尿病網膜症に関しては有意な変化を観察しえなかった。
★おわりに(考察)★
薬用人参は多彩で糖尿病に有益な作用を持っている。その作用は糖尿病治療の主役になるようなものではないが、自覚症状を改善する効果がある。著者は薬用人参の使用目標として、代謝がcatabolismに傾いている者(体重減少、やせなどを目標に)、高脂血症を有するもの、早期腎症あるいは腎症のもの、陰萎のもの、不定愁訴のあるものなどを参考にしている。今後、糖尿病における薬用人参の適応が明らかとなるような臨床試験に期待したい。
(共立出版株式会社 薬用人蔘2000 20年の科学的研究 その業績のすべてより抜粋)
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